釆野元英さん

ほんとの賢人って、こういう人のことを言うんだなって、いつも感心するんです。
まっとうなお出汁の名店、京都うね乃のご主人、釆野元英(うねのもとふさ)さん。
いろいろ漠然とした何かを教わりたくなって、ちょっと訪ねてきました。
鷹揚なのに、時代の空気に極めて敏感。進取の気性に富みながら、正しく堅実に商売を繁盛させる。すごいな。

いろんな、偶然に見える必然の為せる技、昨年、完成した本店隣の新工場は素晴らしいの一言。

「北ちゃん、僕5年前やったらこの工場たててへんわ。」って。

どゆこと?

5年も前やったら、京都府がすすめてるように、郊外に大きめの工場建てて、半分くらいは自動でできる工場にしてたと思うわ。そやけど、いま、そんな時代やないわな。云々。

ベストタイミング、ベストなご縁で本店のお店の隣の土地が入手でき、都会の真ん中に、それも最高に気持ちのいい木造で、HACCPをクリアする理想の工場ができた。

できた、というのは違う。元英さんの旗振りのもと、衆知の結集で作り上げたというのが正しい
今どき、消防たら、保健所たら、いろんな制約で木造で何かするっていうのはほんとに大変らしいのです。
(この建物は、木を使っているけど、最新技術でもって、消防法上も、鉄筋と同じ扱いになっているそうです。)

うね乃工場を建てた人々

だから、建築に関わった人々全員の名前が刻まれている。みんなで作り上げたという喜びと感謝の気持ちと同時に、手入れのかかる建築だから、みんなずっと面倒見て手入れしてや、という気迫も込められている。やるなあ。

工場に入ると、にこやかに出迎えてくれる社員さん。
うね乃のスタッフは、皆さん若くてかっこいいのだ!

うね乃の社員さん
うね乃工場階段

呼吸してるだけで、実に気持ちのいい、贅沢な階段。棟梁の思い入れが伝わるようです。

降りる時はエレベーターだったんですけど、そもそも木造建築のエレベーターを作ること自体、普通の業者さんは毛嫌いするから、なかなか難しいんですって。(さもありなん。)
でも、そこはそれ、数々の世界的な木造大建築を有する京都!
なんと、その名も京都エレベーターなる会社が、木造建築エレベーターの専門業者として活躍しているんだそうな。京都、やっぱり恐るべし!

2階は、24時間、温度管理された包材倉庫と、冷蔵倉庫。
包材の管理が衛生管理と密接に関わるからだ。

広い冷蔵倉庫の中には、色んなタイプの何十種類もの節がずらり。

お店の好みに応じて、どのタイプの節をどのように削るかのレシピが決まっていて、熟練の職人(みんな若い!好青年!)が手作りで仕上げていく。
清左衛門も、贅沢ふりかけの枯れ本節、清左衛門のレシピでお願いしています。こうやって、こんな素晴らしい工場で、熟練の職人さんが作ってくださっていることを、この目で見ることができて、ほんと今日来てよかった。今度、うちの職人ちゃんたち(うちは、可愛い女の子?のチームで〜す!)も是非工場見学させてもらわなきゃ。原材料の素晴らしさを再認識して、ますますやる気が出ること間違いなし。

隅々まで手入れの行き届いた、風格ある機械たち。
鋼の刃ととセラミックの刃では、切り口の断面が違うとのこと。
ツルンツルンに削れちゃうセラミックと違って、程よい引っかかり感のある鋼の断面のほうが、出汁の味が出るとのことでした。

鋼の刃の手入れは、毎日、砥石で、丁寧に。

糸削りの目立ても、職人の腕の見せどころ。

一見、ごく普通に、袋に詰められてくる、うね乃さんの鰹節。
ほんとにほんとに、ありがたい手作りの鰹節なんだ!と再認識。
もう感激の一言です。
こんなに素晴らしい材料使わせてもらってる私達は、果報者だなあ。清左衛門もますます腕を磨こう!

うね乃 蒸し場

前回の工場見学で聞いた気がする。
蒸し器も、この木製のセイロでないとだめ。(なんとなくわかるなあ、うちだって、木蓋でないと駄目なこといっぱいあるもん。)

鍋

この寸胴は出汁を引くためのもの。
これがガスの下火にのせて美味しく出汁を引くための限界の大きさだとか。
最高の材料と手間を惜しまない丁寧な手作り。これがうね乃さんの出汁の美味しさの秘訣なんですね。

ボイラーでは、材料が焦げてしまって出汁は引けないそうです。
美味しくするには、寸胴での対流が不可欠。(わかるな〜。)

ちなみに、都会の中で、こんな気持ちのいい環境で、レベルの高い仕事をする「うね乃」
こんな時代でも、若者たちが、嬉々として働いています。
元英社長、大正解です。

数年前に、若々しくリニューアルした本店。表にはすてきなマンサクの花。
花言葉は、霊感、ひらめきですって。なるほど〜。

上手に本物風に見せかけた「エキス多用のなんちゃって出汁」が横行する中で、真摯なだしパック「じん」を作り続けるうね乃さんは、出汁の啓蒙のワークショップを行っています。クッキングスタジオの前で、微笑むこの方は、釆野佳子(よしこ)さん。
この人がまた、こう見えて、正真正銘のツワモノです。
小さな体に、まっとうなガッツが満載。ぼーっとしてる時は一瞬たりとも、あるんだろうか。いつも前向きにダッシュしている彼女に、教えてもらうことばかり。ほんとにキュートでスゴイ人です。

私も同じ佳子(読み方は、けいこ)なのに、偉い違いや。
よしこ&けいこ、ということで仲良くしてもらってるので、少しずつ真似したいと心から思っています。
よろしくね、よしこちゃん。

だしパック「じん」は、真っ当な材料だけで作っているから、上品な滋味が楽しめます。下手な味がついてないのでとっても使いやすいです。
エキス使いのギラギラした味とはまったく違いますよ。
百貨店、スーパー、通販サイトで取扱があります。

なんと、アーティストの方が作られた、可愛いうね乃商品のアクセサリーなんかもあって、お店も楽しいのです。私も出汁のワークショップ、そのうち参加しようっと。

お店の見学の後は、前から行ってみたかった、おでんうね乃へ。

おしゃべりとおでんに夢中で、写真忘れてましたが、イタリアン出身の、とてもかっこいいシェフ二人が、選びぬいた食材と出汁と工夫で、うね乃おでんを堪能させてくれます。
気軽に行けるお店なのに、器も、詳しい人からは、飾りでしょ?って訊かれちゃう程のものが惜しげなく使われています。(割れてしまって、いたたまれなくなったシェフが、金継ぎまで自分でするようになったっていうのだから、すごいですね。)

はじめにたった一枚だけ撮った写真は、生ハムしゃぶしゃぶ。右側の美味しい出汁でしゃぶしゃぶしていただきます。
味の変化が楽しい一品でした。定番から変わり種までいろいろほんとに美味しかった〜、ほんとにご馳走さまでした!

うね乃さんに伺って、言葉にはなりにくいことをいろいろと勉強させてもらった貴重な一日でした。
元英さん、佳子さん、ありがとうございました!またね〜。

うね乃公式ホームページ

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