贅沢茶漬 杉箱

久々の商品紹介は、実は私の大好物、贅沢茶漬の静かなる要ともいえる「お茶漬昆布」

穴子のような華やかさ、ちりめんのようなインパクト、ゴボウのような個性はないかもしれないけれど、「黙ってそこにいてもらわないと困る!」という存在です。

贅沢茶漬

お茶漬け、おにぎり、お弁当にぴったりの、一切れで実力を発揮する、飽きのこない物静かな万能選手。
気候だとか、体調だとか、何となくご馳走に箸が進まない時、そばにいてほしい味。
体力が弱っている時などは、上質な辛口の塩昆布が、身体の細胞に染み渡っていくように美味しく感じられます。

 お茶漬け昆布

清左衛門のお茶漬け昆布は、素材のもつ旨み以外の甘みは全く入っていない辛口ですが、その味も時とともに変化します。

作りたては、醤油のキレのあるキリッとした辛口。根っからの辛党の人にはたまりませんね。

だんだん、時間とともに味はマイルドになり、だんだん乾いてきます。
お客様によく「塩吹き昆布はないの?」って聞かれるんですけど「ほったらかしておいてくださったら、だんだん塩吹いてきますよ(笑)」とお伝えしています。
グルタミン酸ソーダをからませなくても、天然のグルタミン酸が浮き出てくるわけで、美味しさの質が違います。
ほんの少しで美味しい昆布。「少し愛して、長〜く愛して」的な商品ですね。

さて前置きはこのくらいにして。

まず、美味しい塩昆布を作る上で、最重要ポイントは何といっても素材の昆布の品質です。

その昔、いつも使っている道南産・白口浜真昆布が不作で調達に困っていた頃がありました。当時仕入れていた中央市場の昆布屋さんが「佳子さん、これ使ってみてよ、近いところで取れてるし、なんとかなるんちゃう?」て、ちょっと違う昆布(道南産真昆布の中の違う種類・本場折浜)を1ロット分気前よく提供してくれました。それで、調味料もつくり方も全く同じで炊き上げたのに、想像以上に違うものが出来上がりました。味の深みも舌触りも全然違う感じでした。材料が違うとはこういうことなんだ‥って、大変勉強になりました。

さて、高級昆布として有名なのは、

利尻昆布 → 京都の料理人の定番。すっきりとした味の澄んだ上品な出汁
真昆布  → 大阪の料理人の定番。しっかりした味の澄んだ上品な出汁
羅臼昆布 → しっかりと旨味のつよい、黄色味がかった出汁。すこし濁りがでる。

白口浜元揃い真昆布

清左衛門が使用しているのは、道南産白口浜川汲浜(かっくみはま)産の1等真昆布です。

仕入れ先は利尻昆布で有名な昆布の老舗、敦賀の「奥井海生堂」さん。

昆布の仕入れで行き詰まったていた時、音楽評論家で食通の小倉エージさんが紹介して下さいました。
ここで少し私の存じ上げている奥井海生堂さんを紹介しましょう。

下の写真は、ずっ〜と私が大切に持っている奥井海生堂さんのパンフレットです。(お洒落で中身も濃い〜!)
1年、2年、10年と蔵囲いした昆布をそれぞれ一晩水につけた昆布水をワインに見立てたもの。真ん中の一番濃いのが10年もの。すごくないですか?

奥井海生堂 パンフレット

ソムリエならぬ「こぶリエ」の称号をもつ乾物屋さんに料理にぴったりの昆布をアドバイスしてもらえればさぞかし楽しかろう、ってな内容です。
超一流のクリエーターによる究極のパンフレット!いつ見ても惚れ惚れします。

奥井海生堂パンフレット

さて「奥井海生堂」は、利尻昆布でとても有名ですが、ほとんどありとあらゆる昆布を扱っているいらっしゃいます。
昆布の老舗 奥井海生堂ウェブサイト

もう、14、5年くらい経つのでしょうか? 東京日本橋高島屋の催しで、初めてお目にかかった奥井隆社長。「小倉さんから連絡もらっている」と、高島屋ではとんでもない VIP なのに気さくに声をかけてくださいました。
「とにかく昆布蔵を見にいらっしゃい。」と言って下さったので、なれない時刻表を見て (当時はネットも無かった)サンダーバードだか雷鳥だかにのって敦賀まで行きました…。(この頼りない私が、あんな遠くまで一人旅。あ〜、あの時の自分を褒めてあげたい‥。)

繁華な感じにはほど遠い静かな敦賀で、奥井海生堂の会社の前だけは高級外車がずらり。ゲストハウスにも迎えて頂きました。(ゲストルームではありませんよ!ゲストハウスです ‼︎ そこかしこに、香川の高名な桜製作所作、ジョージナカシマの家具が無造作に置かれておりました…。)
ちょっと自慢になりますが、奇遇なことに、清左衛門の什器も、その桜製作所で作っていただいたものです。(開店の時、大好きな大好きな祖母がプレゼントしてくれました!)

一言でいっちゃうと、奥井さんは、頭の先から、催事の最中のスニーカーまで「エルメス〜!」みたいなゴージャスな方です。

奥様と3人でお話ししている最中、奥井社長は、さらりとおっしゃいました。(ご本人は言った覚えがないとおっしゃるので、私のいつもの妄想かもしれませんが‥)

「僕はね、北さん、もうお金はいいんです…。」

一瞬、びっくりしましたが、次の瞬間「いっぺん、いうてみたい〜!」と本気で口走っていました。だって、お金がたくさんあれば、人を喜ばせられるし、素敵な企画がいろいろ実行できますもんね〜。お商売が順調で、潤沢なお金がなければ言えない言葉だな、うらやましいな〜って思ったんです。

でも、実は奥井さんのおっしゃる意味は全く違ったんです。「昆布屋魂」というか、なにかそういうものからくるご発言だったのです。

「北さんね、お金の価値なんて簡単に変わるんですよ。だから、僕はね、お金で持っているよりこうやって昆布を持っている方が安心なんです。いい昆布とお客さんを持っていれば、どんな時代が来てもやっていけるからね。」
(そういう意味なんですね、と納得)

「だからね、こうして毎日、どこからともなく勝手に昆布が届くんですよ。」と。
(なるほど〜。多分、奥井さんは漁師さんたちが喜んで販売したくなるようになさっているんだわ。)

おびただしい昆布が積まれた、昆布蔵で、「北さんのところには、これをお薦めする」といって下さったのが、今も清左衛門が使い続ける「川汲(かっくみ)浜」の天然物真昆布一等です。

白口浜元揃い真昆布

尾札部(おさすべ)もいいが、浜が大きいので品質に若干のばらつきがある、だから清左衛門には安定して高品質な川汲をすすめると。

私が「どういう昆布がいい昆布なのですか?」と尋ねると「僕らは、実際にはつかわないから、結局はお客さんの評価なんだけれども、これだけの莫大な量の昆布をみているとなんとなくわかってくるんですね‥、こう、気品があるというか‥」

わっ、やられた〜!こういう言葉に私は弱いんです。「気品!」 実際、ちりめんなんかを見る時も確かにこういうことはいえてる。理屈ではない、醸し出す雰囲気。
そして、清左衛門自身も「気品」がにじみでる商品を作りたいと常日頃、考えています。

広い空間に昆布が積み上げられた薄暗い昆布蔵。
そこで見せてもらった、少し青みがかった飴色をした川汲浜の昆布は、確かに、高貴にみえた。

そして、続けておっしゃった。「僕らの仕事は安定供給、ただ一点です。」

数年前、道南産の真昆布に不良の年が続き、親しい前出の中央市場の昆布屋さんから「今年は真昆布欠品するんちゃう」みたいな情報をえていました。
昆布に対する漠然とした不安を口にしていたら知人がちょっと聞いてみたらと紹介してくれて、川汲浜の昆布でたいへん有名な大阪の大老舗のご主人に電話でお話を伺ったことがありました。

「これから昆布だけ、というお商売は難しいと思いますよ。うちも今までのお客様に用意するので精一杯で、新しいところへ納める余裕はありません。こんな時期に、何にも言わずに仕入れることが出来ていることを本当に感謝されたらいいですね。」って。

そこまでタイトな中、本当に奥井さんは何にも言わずに、いい品物を納め続けてくださってたんだ、感謝感謝。ありがとうございます。結局、川汲の昆布が調達できなかった時もしばらくありましたが、その間は、全く遜色のない尾札部などの白口浜一等真昆布をきっちり納めてくださいました。

というわけで、高級食材の何もかもの仕入れが困難になる昨今、清左衛門は、昆布の仕入れに関しては大船に乗った気分でいるのです。奥井海生堂さま、ありがとうございます。

さて、清左衛門のお茶漬け昆布。
昆布が最高であることはわかっていただけたと思いますが、次に大切なのは、丁寧な仕事。
まずはその昆布に純米酒をかけて(贅沢〜!)、一晩以上寝かせてしっとりさせ、綺麗に切ります。でないと切り口が野暮ったくなってしまいます。

昆布下ごしらえ

昆布下ごしらえ

昆布下ごしらえ

昆布切りのカッターは、京都の有次作の特注品。愛用の優秀な道具です。

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有次と清左衛門

昆布下ごしらえ

きちんと揃えて切った後は、手でカット。切れっ端は、美味しいお惣菜の出汁に‥。

昆布下ごしらえ

丸島の杉樽仕込み醤油と、純米酒「久寿玉」だけで、じっくり時間をかけて炊き上げます。

醤油と酒

こうして出来上がった「お茶漬昆布」は、塩昆布の王道って自負してしまう自信作です。
昨今の薄甘〜い昆布に慣れ親しんでいる方にはちょっと辛いと思われるかもしれませんが、本物の塩昆布の美味しさをお楽しみいただければと思います。

寒いとすぐに、かたくなりますが、それも、添加物と砂糖が入っていない塩昆布の運命とおもってご愛用いただければ有難いです。干からびたら、干からびたなりの美味しさがあります。
干からびて、「カンピンタン」になったのが好き!っていうお客様もいらっしゃいます。

最高の原材料で、丁寧に作り上げた清左衛門の「お茶漬昆布」をどうぞよろしくお願い致します‼︎

お茶漬け昆布

お茶漬昆布の副産物、昆布醤油は、ミラクルな調味料。最高の昆布といいお醤油、いいお酒だけで作っているので美味しくて当たり前ですよね。
煮物にほんの少し入れるだけでぐっと味に深みが出ます。納豆の味付けにもぴったり。とても少ししかできないので定番ではありませんが、これもオススメです。

昆布醤油

 

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