産地証明書

食品偽装が、いろいろ取り沙汰されて、案の定、百貨店さんから、「産地証明」の提出をやかましく言われるようになってきました。
こういう問題が生じるたびに「お手数ですが、コンプライアンスが重視されますので、産地証明を…。」「産地証明出してください」「産地証明‥」「さんちしょうめい‥」「サンチショウメイ‥」
百貨店にしてみれば、免罪符みたいなもんかなと、はじめはちょっと「?」に感じました。

でも、すべての産地証明とか製造規格書なんかをあらためて入手してみると、真面目な業者さんとばかりおつきあいしている清左衛門でも、いっそう、しっかりした安心感を再確認出来ました。
証明書を添付するのも、確認するのも決して悪い習慣ではないと思いはじめました。

まあ、所詮「紙切れ」だし、悪い事する人だったら、こんなもんいくらでもなんとかなりそうなモノなので、結局は、人間性のしっかりした業者さんとつきあって、人と商品を見る目を肥やすしかないと思いますけど…。

清左衛門 しおり

清左衛門みたいに、ほとんどすべての産地を記載し、おまけに「無農薬」とか「無添加純正」とか「本物の味」「手作り」とか、いろいろいちいち素性を説明しようとするメーカーはいまや、百貨店の神経を逆撫でするような存在です。頼むから「書いてくれるな」みたいな感じです。

でもね、うちは、商売を始めたときからずっと、守備一貫してこのスタイルなんです。安心も味のうちと心底思っているので、恥ずかしいくらいしつこく書いているのです。「無添加純正・本物の味」を貫くために、コスト的に無理したことはあっても、「無添加純正」とか「手作り」とかのフリして不当な利益を得たことは一度もないのです。よけい大きな声で、大きな字で書いちゃいます。「無添加純正! むてんかじゅんせいだ〜!」って。

「保存料無添加」または「着色料無添加」という限定的な表現は使っていただいて結構ですよ、とかいってくださいます。
それで、堂々、安全食材の仲間入り?
あのね、清左衛門は、そういう低いレベルの話はしてないんですよね。

そうすると、また言われちゃうんです。何をもって「最高級」というのか? 何をもって「純正」「本物」というのか?その根拠は?

何をもって「最高級」というのか?

確かに、曖昧な表現かもしれないし、 勉強させられますね。

紅鮭 特級

例えば、「紅鮭」は、仲卸の評判でもトップクラスと考えられているメーカー(清左衛門でっ使っているのは、だいたい2社くらいです。これも別に格付け会社がある訳ではないのですけど)の「特級」を使用しているので、客観的にも「最高級」ですね。

天然真昆布 川汲天然真昆布 川汲

昆布も道南産(それもほとんど川汲産)の天然真昆布の一等、なので、「最高級」ですね。
昆布が不漁なときも、何にもいわずに、いい昆布を安定供給して下さっている奥井海生堂さんに感謝です。

宮崎ちりめん

では、ちりめんは?
創業時からいつも、専門の業者さんに高品質のものを教えてもらって、いろいろ試して失敗も乗り越えて、品質を勉強してきました。気に入ってたいてい使っているのは宮崎県のちりめん。メーカーは色々ですが、いつも仲卸のめききに探してもらっています。清左衛門にとってその時手に入る一番いい物を使って来たのだから「最高級」と書いて来た訳ですが、基準があるかと言えば、はっきりした格付けはないんですね。なんでも、高けりゃいいという訳ではないけれど、「安いものと化け物はない」のは事実で、やっぱりある程度値段と原材料の品質はパラレルと思います。

ずいぶん前、大阪中央市場の高級塩干では最高といわれていたお店(長いおつきあいでしたが残念ながら廃業されました。)で、ずらりと並ぶ田作りの値段と価格をご主人にすべて教えてもらって、あまりに納得で、なるほど価格とはこういうことかと思ったことがありました。田作りに関しては、かなりいいものを使っているけれど、お正月めがけて出してくる超高級品は、やんちゃ煮のようなカジュアルな商品の原材料としては実際、手が出ませんね。

肝心かなめの穴子はどうなの?
創業から、穴子を扱う何件かの業者さんで仕入れてみましたが、毎日、高い代金を支払い、手間をかけて下処理し備長炭で焼き、穴子茶漬けに仕上げていく。この繰り返しの中で、いい品物を見分ける力がついてきました。中には、かなり手広くやっているお店の魚でも見ただけではわからなくても、作業を進めるうちに「どこか様子が普通じゃない…。」という感じのものに出会う事もありました。そういうときは、泣く泣く高い月謝と思って処分しました。お客様には出しません。そんな業者には二度と近づきません。
そうこうして、ずっとお取り引きしているのは、田中さんという、以前は「天弥宗」という屋号で商売をされていた穴子屋さんです。天弥宗は「天保山のやそきち」という人が始めたお店で高級穴子を扱っていました。田中さんは不器用と言ってしまっていいほど実直な方で、今の会社にうつられてからも責任をもって清左衛門の穴子を調達して下さっています。結局は、人の問題です。

ゴボウや生姜は?
有機栽培の、美味しいごぼう・生姜を愛知の東研さんで仕入れています。たまに、JAS認定のない無農薬の野菜になるときもありますが、かなりいい農産物である事は間違いありません。長年、有機農産物を専門に扱って来た頼りになる販売業者の東研さんがいてくださるから、安定的に仕入れる事が出来るのです。感謝感謝ですよね。

清左衛門のれん

何をもって、「無添加純正」、「本物の味」というのか?

これも、確かに曖昧です‥。

調味料は、醸造用アルコールやカラメル色素などの添加物を使用せず、精製度合いの低い、出来る限り時間をかけた自然な製法を守り続けるメーカーのものを使用しています。丸島醤油さん、飯尾醸造さんなど、はっきり言って、かなりの決意と誇りを持って作られているメーカーがほとんどです。(平瀬酒造さんは、アル添の商品も作ってますが、清左衛門が使用しているのは米と米糀のみでつくられる純米酒です。)

煮豆の製造には、炭酸も使っていません。別に、昔から普通に使われている炭酸についてどうこういうつもりはないのですが、使わない方が美味しいし、自然な仕上がりになるから使わないだけです。

魚を焼く場合、備長炭を使うとまったく味の次元が変わるから備長炭を使います。

ひとつずつ、説明すればキリがないほどです。共感できるメーカーさんの作る調味料、信頼できる専門業者さんが調達する食材を用い、最大限のこだわりをもって「自然な本物の味」作っているのです。

結局、「無添加純正」「本物の味」は、私たち「清左衛門」の「心意気」「哲学」の問題だと思います。

本物だ、正しいと信じていたものが、もしかしたら間違っていた、ということも全くあり得ない話ではないと思います。ただ、自分たち自身が「無添加純正の本物」であれば、万が一目が利かなかくて誤ったとしても、必ずよりよい方向へ成長できると思うのです。

百貨店の神経質な質問のおかげで、立ち止まってあらためて考えることが出来て、とても良かったと思います。
有り難うございます!

でも、百貨店で、ひとつ気になるのは、取引を始めるときは、ものすごく神経質で、書類をいっぱい用意しなきゃいけないのに、一旦始めると、ほったらかし。百貨店の無添加・自然食のコーナーに、原材料を変更していまや添加物を使用している商品が堂々とおかれ続けていたりするのでちょっと滑稽だったりもします‥。

取引先が多いから、いちいち見てられないのでしょうけど、ほんとはバイヤーさん達が、品物に目が利いて、原料の価格とかにも精通していて、何より人柄というか会社柄を見極める力さえあれば、そして普通に考えて正しいか否かの判断がつけば、昨今のような問題は生じるはずがないと思うのです。

海老ジャコ

ほとんど、すべての百貨店、ホテルが横並びで、バナメイ海老を車エビと名乗っていたのは、「みんなで渡れば怖くない」的な発想だと思います。「椿山荘も帝国ホテルも書いてるし‥」みたいに。(椿山荘、ちょっとショックですけど‥)

ちなみに清左衛門が使っているのは、海老ジャコです。瀬戸内でとれる身近な海老ですけど新鮮で美味しいですよ。

嘘ついてた人たちが、「マズい」ってことで本物を買いにくるから、今年は、いろんなものの値段が上がったり不足が生じたり、真面目な人たちもとばっちりを受けると思います。百貨店、ホテルの今年のおせちは、メニューに車エビと書いていたところは車エビにしなきゃいけないから、原価があわなくなるでしょうね‥。(ボってたところは平気でしょうけど‥)

清左衛門さ〜ん、なんで、そこまで意地はって、「高級食材」「無添加純正調味料」「有機・無農薬」にこだわるの?とか、偉そうに宣言しなくても、黙っていいもの使えばいいじゃない、
というお声が聞こえてきそうですよね。

ズバリ、「ブレないため」です。

清左衛門はこういうものを使用しています!丁寧に作っています!とあちこちに恥ずかしいほど書くことで、自分を縛り付けているのです。嘘だけはつきたくないから、一生懸命、常によりいいものを使おうとする。そして、いい材料を使うと、間違いなく料理の腕が上がるんです。高価な素晴らしい食材を使うと取り組む姿勢、緊張感がまったく違うのです。そして楽しい!清左衛門のスタッフは楽しいと思いますよ。

大工さんだって同じ、裁縫をする人もまったく同じだと思います。材料がいいと職人は元気が出るのです。

金看板背負いながら、日々、偽りの食材を触らされていた職人さん達はどれほどつまらなかったろう‥

まわりにも、真面目にいいものを作っている人たちも多いからよくわかります。「無農薬」「有機」「無添加純正」「手作り」というものに、ほんとに真面目に取り組んでいるところは、多少、価格が高く見えても、決して楽な商売はしていません。徹底して続けようと思ったら、かなり大変です。伊達や酔狂で出来るものではないのです。皆さんある種の使命感や意地、矜持に支えられて仕事しているのです。

このあいだ、近所の居酒屋のご主人(いいお客様です!)に諭されました。
「こだわった商売したらしんどいで。普通がええよ‥。」
欠品させることが多い私に、心のこもった有り難いアドバイスです。優しいお気持ちには感謝感謝ですが、清左衛門から原材料へのこだわりをとったら、何にも残らない。

ただ、このごろ、高級食材というより、「日々の素朴な本物」に惹かれています。毎日のご飯、みそ汁、おつけものみたいな‥。

清左衛門がおにぎりに目覚めたのもこの辺りからです。

これからも、「本物の味」の意地を張りながら、いろいろ作って行きますけど、どうぞ暖かく応援してくださいますようお願い申し上げます!

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