愛を乞う皿

「佳ちゃん、お前、魯山人好きやろ。 本送っといたからな。」と兄上から電話をもらった。「めちゃくちゃおもろいで。俺の友達が書いてんけどな…。 」「天才や。」
「天才や。」は、魯山人にかかっているのではなく、「愛を乞う皿」の著者の田中経一さんにかかっている。

かつて、伝説の人気番組、「料理の鉄人」、「クイズ・ミリオネア」などを手掛けた演出家で、近年は、小説家としてもご活躍中とのこと。

麒麟の舌を持つ男

実は、前にも兄から「おもしろいぞ!」と送ってもらっていました。なかなか本を読もうとしない妹の本棚には、同氏の魅力的な著作が「何で、はよ読まへんねん!?」とスタンバイしたままになっています。どっからどう見ても面白そうなのに…。半分くらいの厚みだったらなあ…。すみません。

さて、今回は、魯山人❗
私の師匠です!(勝手に入門してから、はや25年)(入門を許可されたわけではありませんが…。)(入門の経緯についてはまたいずれ…。)

東京出張にも、重いのにこの本を携帯していったけど、結局、とぎれとぎれに読むのがいやで、はやる気持ちを抑えてそのまま持ち帰りました。

この本は、巻末にはフィクションと書かれていますが、綿密な取材、インタビューに基づいていて、細部の魅力的な演出はフィクションであるとしても、人間魯山人の「ほぼほぼ伝記」と言える作品と思います。

<STORY>
魯山人の書生、若かりし平野雅章が、死の床についた師匠の足跡をなんとしても書き残したいと、魯山人の人生に深く関わりながらも結局は決別した7人の人物に、面会を求め、魯山人とのかかわりを聞き、できるならば「先生の見舞いに来てくれないか?」と依頼する。そして、魯山人本人も、自らの数奇で華麗な人生を平野に書き留めてもらおうと語りはじめるという筋立てです。

下の写真は、随分昔の別冊太陽の北大路魯山人生誕100年記念号の頁。(自称、弟子なので、私は魯山人に関する資料を少しだけ持っているのです。)
一番右が平野雅章氏、左三人は、彼が訪ねた7人のうち島村きよ、松浦沖太、武山一太の三氏。この特集号には、あとの4人の人物のうち、娘和子さんを除く細野燕台氏、中村竹四郎氏、荒川豊蔵氏の写真が紹介されているので、小説の参考文献として随分リアルに感じることができました。魯山人の器に盛られた料理の復元写真もあるのでなおさら。

別冊太陽 魯山人

魯山人は、実際に会ったとしたら、傲慢で怖くて理不尽で、逃げ出したくなるような人物かもしれません。

しかし、なんの先入観もなく、入院先の病院の近所の書店で偶然、著作に出会い、心酔してきた末席の弟子である私としては、色んな人達が、先生をさも憎々しげに語ったり、俗物だと切って捨てたりすることに、少なからず胸を痛めていました。魯山人のファンだというだけで、なんとなく蔑まれる感じもないことはないし…。

どこのどういう文脈だったか、どういう言い回しだったか、すっかり忘れましたが、かの白洲正子も、魯山人について、「あれほどの俗物が、あれだけの美を生み出す不思議」みたいなニュアンスの描き方をしてました。私は、なんとなく悲しかった。お姫様で育った人が、そこまでひどい言い方しなくてもいいじゃない…。

でも、ひとはひと。私は、魯山人先生をずっと慕ってきたのです。
彼の傲岸不遜は噂通りであるとしても、少なくとも著作の中には、自然美に対する謙虚さと、敬虔さ、本質的な高みを目指すたゆまぬ精進の気持ちと純情が溢れていました…。

今回の、この小説。
魯山人の素晴らしいところもとんでもないところも、華麗さも寂しさ・切なさ、情けなさも全部、引き受けた上で、北大路魯山人の生涯を語っています。(愛あるまなざしで…)

過酷すぎる出自と運命的なおいたちが、魯山人の生来の才能を開花させ結実するや、再び過酷な状況を与え続け、その全てが、彼をますます作陶に、芸術に追い込んでいく。出自を知り、理想の舞台を追われた魯山人は、作陶に没入する道しか残されなかった。天が、「芸術の子として生きよ!」と命を与えた。運命の人としか言いようがない。

愛を乞う皿

田中経一著、「愛を乞う皿」
とても面白いので是非、読んでみて下さいね。

おもかげ 阿井景子

さて、ついでに、もう一冊。こちらは、随分前の本になりますが、とても素敵な内容なので。
若い時代に、老魯山人と直に接した作家・阿井景子さんの描く先生は、私の思い描いていた寂しく優しい魯山人像そのままでした。涙して読んだことを思い出します。

どちらも名著です。
是非、稀代の天才の人生にちょっと触れてみて下さい。
(北大路魯山人関連記事その①でした。)

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