2015.01.17

鯖

昨年、11月、ご予約を頂いていながら鯖寿司の発売をとりやめたことがありました。
その顛末について。それまでの無知をさらすことになりますが、知らない方にとっては危険を回避するため重要な内容なので、ご報告させて頂きます。

もちろん清左衛門は、お寿司屋さんではないけど、自分が大好きで、かなり研究もして何年も作ってきた鯖寿司でしたが、実は全くもって勉強不足だったことを知りました。反省し勉強し、鯖に関して少々ステップアップする機会になりました。
鯖は最高に美味しいお魚ですが、気をつけないと恐ろしい目にあう可能性もあるらしいのでおつきあい下さい。

さて、清左衛門は、いつも鯖は大阪中央市場の「福定」さんで仕入れています。背の青いお魚を得意とするお店。

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その時々の、おすすめのちょうどいい鯖を用意してくれます。(産地によって脂が乗ってくる時期が違うのです。)
いつも「いい鯖があったらよろしく」とお願いして、とびきりの鯖が来るとルンルン「鯖!」「鯖!」と騒いでいるのですが、その日はなんとなくが浮かない感じで、「悪くないよね。」とスタッフになぐさめてもらいたい雰囲気。正直言うと、もしかしてちょっと、ん?みたいな。やっぱり鮮魚を日付指定でお願いしちゃうと少し難しいのかな‥。

リーダーの勝山さんが、塩をまわして酢でしめたあと、鯖を斜めにして余分なお酢をきってるとき、

「あれっ、身割れがちょっとひどくない?あばらも外れてるし。‥‥鮮度‥‥もひとつやった?」(私)

「ぱっと見は綺麗な鯖と思ったけど、割れ易かったですね。」(勝山)

「ん〜、これは、‥ちょっと‥売りたくないと思わへん?」(私)
「そうですねえ。」(勝山)

「予約のお客様にお断りの電話いれよっか。明日作ってみてそこそこ美味しかったら事情をお話して、進物じゃないから別にいいよってお客様だけ、半額くらいで買って頂くみたいにする?」(私)

という感じになった。せっかく楽しみにして頂いているのに申し訳ないけど、仕方ないね、ということで。

鯖

残念だなあと、ブルーな気持ちで、再びさばいた身を眺めていて、また「あれっ‥?!」

「こんなちょっとシミみたいな点、見たことある?」(私)

「いえ」(勝山)

「何だろう。よくわからへんけど、もしかしたらこれが噂の寄生虫(アニサキス)かな?」「万が一そうやったら大変だから、お客様には、製造中止のお詫びの電話を入れて。今回はディスカウントの販売もいっさい無し!」(私)

となった訳です。

後日、福定さんとお話をしたところ下記のことが判りました。

①福定さんも、最後の最後は、さばいてみないと判らないという部分はあるらしい。(そりゃそうだと思います。)

寄生虫は、鮮度と関係なくいる。そして、アニサキスは塩や酢では死なない。死滅させるには加熱するか、マイナス20度で、24時間以上冷凍する必要がある。
私は、お恥ずかしいことに!、
素人考えで、刺身はダメだけど塩と酢で締めた鯖は大丈夫!とずっと思い込んでいました。すみませ〜ん。

③上から来る鯖(北海道、宮城など)は、身が割れ易く、内蔵だけでなく身の方に寄生虫がまわることがある。鮮度がおちると身の方にまわりやすくなるみたい。

④九州の鯖は、身われしにくく、寄生虫は、ほとんど内蔵だけにいる。

⑤上の方(北海道、宮城など)の鯖は11月頃の鯖でも美味しいが、九州の鯖は12月に入らないと脂がのってこない。(後日、判ったのですが、今年は1月になっても九州の鯖はたいして美味しくならなかった‥。漁場が変わったのが原因みたいです。)

そしてアニサキス中毒については福定さんは、「俺は、ずっと食べてきたけど、あたったこと一回もないで!」と断った上で、何年か前、ある大店が鯖寿司でアニサキスの食中毒を出してしまって、新聞沙汰にしないために躍起になった裏話を教えてくれました。

から、大手や専門店は、鯖を一旦冷凍してから料理している、と。(はよ、教えて!)
そういえば、ここ1、2年で、鯖の寄生虫がやけに声高に取り上げられるようになってきたような気がしてました。

アニサキスの中毒は、それはそれは恐ろしい激痛だそうで、運悪く胃壁や腸壁に噛み付くと、手術でないと取れないらしいです。(よく噛めばリスクはさがるそうですけど。いや〜ん。)
ご家庭で、鯖のきずしなんかを作るときは必ずしっかり冷凍することをお忘れなく!

鯖寿司に関しては、遠路はるばる冷凍で届く安価なノルウェーの鯖を使っているところは、アニサキス中毒の心配は一切無く、鮮度の良い近海の鯖を使っているお店が事故を起こす可能性があるという何とも言えない皮肉な結果になる訳です。

chejyusabaチェジュ

これは、きれいで、身割れのない、一度試作したことのあるチェジュ島の鯖。(1年前の冬撮った写真です)ちょっと脂が多すぎて私の好みではなかったけれど高価な有名な鯖です。色々な産地のものを使ってきましたが、とにかく、清左衛門で、今まで何事も起きなかったことを感謝するばかりです。

で、これから、清左衛門でも、24時間以上冷凍して、安全な鯖寿司をお届けすることにしました

先日、専門機関で、冷凍のきずしの細菌検査も行い、また、どのくらいの期間の冷凍で食味がどのくらい変化するかも試してみました。
その結果、ある程度の期間は、きずしは従来通り作ったものと、いったん24時間以上冷凍してから解凍したものとは全く変わらないことがわかりました。仕入れに4〜5日の余裕があれば、よりよい鯖を調達できる可能性が上がります。
清左衛門の鯖寿司のグレードは間違いなくひとつ上がると思います。
これからも、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

今回の報告は以上です。
近いうち清左衛門の鯖寿司作りをご報告したいと思います。

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